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フルート総論

フルート総論…10.フルートの材質と音色の関係

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10.フルートの材質と音色の関係

 このテーマについては、プロのフルーティストの間でも意見が分かれているようです。「フルートの音色と材質は関係がない」と言い切る人と「金は金の、銀は銀の、材質によって音色に違いが出る」と言う人と大きく分かれています。なぜこんなに意見が対立しているのでしょうか。フルートの音色は材質だけでなく、その設計思想にも影響されます。また同じメーカーの同一機種でも個体差というものがあります。もちろん同じフルートでも奏者が違えば、違った音色になります。どんな材質のフルートを吹いても同じ音色を出す奏者もいれば、金のフルートは鳴らないけれど、銀のフルートだと実に素晴らしい音を出す人もいます。実に複雑な要素が絡み合っているのです。

 余談ですが、ハイアマチュアの中に(もしかすると一部のプロにも)、「材質によって音色が違うのは、楽器をちゃんと鳴らしていないからだ」と言う人がいます。分別をわきまえない意見だと私は思います。なぜかというと、前述の「金のフルートは鳴らないけれど、銀のフルートだと実に素晴らしい音を出す人」とは、東京佼成ウインドオーケストラのフルート奏者、前田綾子さんのことだからです。前田さんはご自身でも言っていらっしゃいますが、いろんな材質のフルートを試した上で、今吹いていらっしゃるフルート(ヤマハビジュー)が一番鳴るとの結論になったのだそうです。前田さんの音は吹奏楽の中でも光る音を出していらっしゃいますよ。とても「ちゃんと鳴らしていない」奏者などではありません。

 それともう一人、この人を「ちゃんと鳴らしていない奏者」だと言える人は、誰もいないと思える人の音で、フルートと材質の関係を考えてみましょう。すでにいろんな人のブログで紹介されていますが、ジェームス・ゴールウェイが16本のフルートを試奏した動画があります。この動画でゴールウェイの音を聞くと、どんなフルートでもゴールウェイらしい音がするのですが、かと言って、すべてのフルートが全く同じ音色かというと、そうではないことがわかります。もちろん違うメーカーだと音色も違いますが、この中にはムラマツのフルートが何本か入っています。ムラマツは材質が違っても全てのフルートが同じ設計思想で、同じ手間をかけて製作されています。音色の違いがあるとすれば、材質の差と個体差だけです。ムラマツの製作技術を考えると個体差は少ないと考えて良いでしょうから、音色に違いがあるとすれば、材質の差と考えていいでしょう。でもその差はこの動画からだと一割くらいの差だと私は思います。

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~ Comment ~

 

 材質の違いがフルートの音色に与える影響については、洋の東西を問わずに種々議論のあるところのようですが、これに決着つけるべく実験した人(ドイツ人のよう)の、実験結果がウェッブ・サイトに載っております。
 学位(「大学卒業」?)論文のようですが、原文はドイツ語。それの要約版を英語で紹介してあり、それが次のサイト。
http://iwk.mdw.ac.at/Forschung/english/linortner/linortner_e.htm

 このサイトの英語をさらにコピペして要約しますと、下記のとおりとなります。

The role that the wall material plays in determining the tone quality of flutes has long been a subject of argument.

The discussion on the influence of the material of wind instruments on the sound color is unending. While acousticians speak mostly of a negligible influence, players are convinced that the material highly influences the color of the radiated sound.

To terminate this discussion once and for all (which probably started in early Stone Age circles with assertions that a flute made from a human thigh bone had a much better tone than one made from a stick of bamboo), we chose seven identical flutes made by Muramatsu which only differ in the wall material and could be purchased by everybody
SUMMARY
This paper reports on experiments done with 7 different flute materials and 110 testpersons, where the price of the instruments is between € 3,000.- and € 73,000.- (!). Double blind tests and statistical analysis showed players‘ and listeners´stereotyped ideas on that matter and the non-recognizability of the used material. Sound analysis pointed out big differences in the sound level and sound color of played tones caused by the player and just measurable but not perceivable differences (< 0,5 dB) in sound color caused by the material.

 このままでは不便なので、私の独断で日本語で簡潔にまとめますと、おおむね次のとおりとなりましょうか。

 「ムラマツの、洋銀,総銀、プラチナの七つの笛で実験すると、奏者による音の違いはあるが、材質による音色の違いはほとんど認められない」

Re: タイトルなし 

dinghy45さん

資料のご紹介ありがとうございます。音の違いは感覚によることが多いので、人によって感想が違って当たり前だと思います。この論文の言う事を正しいと思う人もいるでしょうし、違うと思う人もいるでしょう。私がここで言いたかったのは、「材質によって音の違いがある」という人を「それはフルートをちゃんと鳴らしていないからだ」と言うのは、「分別をわきまえない意見だ」ということです。もちろん逆もあります。「どんなフルートでも同じ音がする」と言う意見に対して「そんなことを言う人は耳が悪い」というのも、やはり分別をわきまえない意見でしょう。

そして私がゴールウェイの動画を貼り付けたのは、この動画の音を聞いて、音の違いを感じるかどうかを、実際に聞いていただこうというのが目的です。ちなみにムラマツのフルートは、2番目と4.5番目、7番目、12.13番目、15.16番目だそうです。

本文中にも書きましたが、私は微妙な違いがあると思います。

音に対してどこまで敏感になれるか 

吹いている本人自身に聞こえている音と、人に聞こえている音ではまた違う、という側面もあるでしょうが、私は、試奏していて、笛の個体差がすごく感じられるときと、何を吹いても違いが分からなくなるときがあります。でも、一番大きいのは笛の差よりも奏者の差だろうと思います。ゴールウェイのこの動画、確かに個体差は感じますが、同じフルートを別の奏者が吹く方が、おそらく圧倒的に違いが大きいだろうと思います。
私なんか、フルートを吹き始めたばかりの頃は、ムラマツだろうがヤマハだろうが「ケーナの音にしか聞こえない」って人に言われましたから。最近は、そうでもなくなってきたと思うのですが。

Re: 音に対してどこまで敏感になれるか 

inti-solさん

そう、フルートの音の違いって奏者によるところが大きいんですよね。だから、同じ奏者がいろんなフルートを吹いたら違いがあるかどうかがフルート自体の音の差になるとも考えられるわけです。以前にヴァイオリンの名器とそうでないヴァイオリンを弾き比べて「差がない」とした実験結果を発表した人もいますが、これにもいろいろ反論が出ました。やっぱり感覚の世界なんですね。

> 私なんか、フルートを吹き始めたばかりの頃は、ムラマツだろうがヤマハだろうが「ケーナの音にしか聞こえない」って人に言われましたから。最近は、そうでもなくなってきたと思うのですが。

inti-solさんは木製のフルートが一番合ってそうです。それはケーナと通じるところが大きいからでしょうが、inti-solさんの体や吹き方が木の笛に合っているからなんじゃないかと思います。決して悪いことではないと思いますよ。
で、金属製のムラマツも木の笛を吹いた時と同じような音がするんだと思います。ゴールウェイも自分の奏法が確立していますから、どんなフルートを吹いてもゴールウェイ節ですが、ケーナで培ったinti-sol節はフルートでも現れるということなんじゃないでしょうか。私がケーナを吹いても全然ケーナの音がしないのと一緒です。それでも、それぞれの楽器の表現が磨かれれば、それぞれの楽器の音がするんではないかと思ってます。


 

なかなかデリケートな話題ですね。
歌口の形状がもっとも音色に関与しているとの実験結果も示されています。
もちろん吹き手の顔かたちで音色がさらに変化に富むのは当然でしょう。
人それぞれの顔かたちに適して、その人の好みに合うのが一番良い音色と思います。

私が問題に思うのは
「金はきらびやか、銀はやわらかな・・」というようなパワーストーンの説明のような売り文句です。
ヤマハの工場では工作ロボットが普及品の歌口をカットしているそうです。
これを使ってそれぞれの材質で全く同じ形状の頭部管を作って比較したらどうでしょう?
もし違いがあるのならとっくに比較コマーシャルしてるはず・・・というのは考えすぎでしょうか?

Re: タイトルなし 

河童さん

私が前に書いたコメントが抽象的すぎたと思いますので書き直します。それでもわかりにくかったらこごめんなさい。

まずこの記事を書いた目的は「材質によって音が違うのか違わないのか」に決着をつけようというものではありません。材質に関係なく自分の音が出せる人もいるだろうし、ある材質の楽器が一番良い音を出せる(前田綾子さんを例にあげました)人もいるだろうということです。ですから「金はきらびやかな音」と言ってもそういう音を出せない人も当然いるわけですよね。でも「9Kの音は…。14Kの音は…。銀の音は…」なんてコマーシャルをしているメーカーや楽器店はあちこちにありますよね。

では、ゴールウェイはどうだろうかということで動画をアップしました。ゴールウェイは一時期ムラマツを使っていましたので、ムラマツが吹きこなせないなんてことはないはずです。ムラマツの頭部管・歌口は一種類だけと聞いています。特に歌口はムラマツ・トーンを守るためにも厳密に作られているそうです。機械で作る方が精密でバラツキがないように思いますが、実は熟練した職人さんの方が精密に作れるそうです。どこのメーカーとはいいませんが、新作の頭部管は発表直後の方が個体差が大きく、その後だんだん均質になっていくのも熟練度が関係してくると思います。

で、私がこの動画の音を聞いた限りでは、同じムラマツでも材質の違いによって微妙な音の差があると感じました。楽器の個体差だろうという解釈もできますが、マーク・グロウウェルズさんはミヤザワ9Kのフルートを二本お持ちで「何か違うのか」と私が聞いた時に「全く同じだ」と言う答えが返ってきました。「音が同じだから場合によって使い分けることもしない」とも言ってましたねえ。むしろ機械で作った楽器の方が個体差が大きいのですが、これはタンポの組み付け・調整の差によることが大きいです。

ちなみにクラリネットは、リガチャー(リードの留め金具)が銀メッキか金メッキかでハッキリと音が違ってきます。同一のリガチャーに金メッキを施すだけでも音が違ってきますから、材質による音の差はあるんだと思います。ただフルートの場合は、その他にもさまざまな要素が絡んでくるので、わかりにくくなっているんですね。
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